けがで終わった野球、残ったのは「誰かの役に立ちたい」
まず、トレーナーを志したきっかけから聞かせてください。
小学3年から野球一筋で、中学は全国ベスト8、高校でも県ベスト8まで進みました。ただ高校時代にけがが続いて。腰のヘルニアで歩けなくなり、足首の重い捻挫や手首の骨折もあり、満足にプレーできたのは1年弱。大学で続けることも考えましたが、断念しました。
引退後、どう進路を考えたんですか。
誰かの役に立ちたい、という想いが根っこにありました。動物も好きだったので、最初は盲導犬の訓練士やドッグトレーナーを考えていたくらいで。担任に反対されて調べるうちに、スポーツトレーナーという仕事に行き当たりました。
もともとトレーナーに憧れがあったわけではなかったんですか。
正直、興味はまったくなかったんです。自分がその立場になるなんて想像もしていませんでした。けがの経験が直接の理由というより、誰かの力になりたい想いが先にあって、それを叶えられる仕事として選んだ感覚に近いです。
王道を選ばなかった、新卒フリーランス
大学では、アスレティックトレーナーの資格取得に専念したんですか。
その資格を取るためだけに4年間通ったようなものです。試験は基礎と応用が100問ずつ、9割近く取らないと受からない。実技の前の座学でふるいにかけられます。記憶は得意なほうだったので、受かるための勉強をやり切りました。
卒業後は、就職活動をしなかったんですか。
会社説明会に行くような就活はゼロでした。大学3年の時点で、卒業したら1人でやると決めていたんです。フィットネスクラブのアルバイトや大学内チームのサポートで人脈を築き、4年では学内実習をやめてセミナーで名刺を配っていました。接客を磨きたくてスターバックスで働いた時期もあります。
新卒でいきなり独立。不安はなかったんですか。
人と同じ道を歩むのが、あまり好きではない性格なんです。アスレティックトレーナーの後は理学療法士や鍼灸師と資格を重ねるのが王道でした。でも、この資格だけでもちゃんと仕事にできると証明したかった。だから独立を選びました。
365日働いた、不安定な時期
独立してすぐ、安定はしましたか。
まったく不安定でした。スケジュールに空きがあると不安になり、何か仕事はないかと動き回って。働き始めの3〜4年は、それこそ365日働いていた時期もありました。
それだけ働いて、稼いだお金は何に使っていたんですか。
ほとんど自己投資でした。セミナーに通い、本をたくさん買う。やりたいことをやる力をつけたくて、そのために稼いでいた感覚です。
そこから、働き方は変わっていったんですか。
お客様がついてからは、休みもしっかり取るようになりました。パーソナルトレーニングと、社会人の野球やラグビー、ラクロスといったチームサポート。この2つを半々くらいの割合で、約8年続けました。
1人の限界と、組織という未挑戦の領域
8年続けたフリーランスから、なぜ組織へ移ろうと思ったんですか。
ずっと1人だったので、組織のなかで誰かを育てたり、チームで何かを達成したりする経験がまったくありませんでした。自分のキャリアを振り返ると、そこがすっぽり抜けている。今後どうしようかと考えていたタイミングでした。
THE PERSONとの出会いは、どんなものだったんですか。
学生時代にトレーナーの仕事で知り合った旧知のメンバーから、メッセンジャーで連絡をもらったんです。ちょうどマネジメントができる人を探している、と。自分が挑戦したいことと、会社が伸びるタイミングが重なった。面白いと思って切り替えました。
最初の印象はどうでしたか。
純粋に面白そうだ、と。これまでのキャリアが活かせて、同時に学べる環境がある。代表や取締役と話して、それを強く感じました。やらない理由がなかったんです。
信頼はつくれる。難しいのは、その先だ
入社直後は、どんな仕事から始めたんですか。
最初はセッションがベースでした。代表や先輩について現場で学びながら、自分でもやってみる。もともとチームスポーツで集団指導をしていたので、パーソナルとの大きなギャップは感じませんでした。人数の差くらいの感覚です。
いまの1日は、どんな流れですか。
いまは6〜8割がミーティングです。メンバーとの1on1やプロジェクトの打ち合わせ。その合間に、新規のお客様の体験対応や既存のお客様のセッションに入ります。
自分でやるのと、人に任せて育てるのと。難しさはどこにありますか。
人を動かし、育てる難しさは、あらためて感じています。メンバーはそれぞれ違う背景を持つ人たち。その背景を大事にしつつ、会社として進むべき方向へ調和させるには、丁寧なコミュニケーションが要る。自分でやるより時間がかかる分、悩みはずっとあります。
信頼関係を築くこと自体は、得意なほうですか。
そこはコーチングを学んだ背景もあって、いちばんの得意分野です。問題はその先。本人のやりたいことを、どう成果に結びつけるか。100人いれば100人にうまくいくわけではないので、細かいすり合わせには苦労しています。